大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和47年(オ)212号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小池通雄の上告理由第一点について。

原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)は、被上告人が本件事故によつて蒙つた傷害の部位程度、入院の期間、入院中に受けた治療の内容、後遺症の状態、被上告人の年令等を具体的に認定したうえ、これら一切の事情を考慮すれば本件慰藉料としては金四〇万円を相当とする旨判示しているのであつて、その判断は、挙示する事実関係にもとづき正当として是認することができ、理由の説示に関して所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同第二点について。

未成年者の不法行為であつても、同人に責任能力がある以上通常の成人と同一の注意義務を標準として過失の有無を定めるべきものと解するのを相当とする(大審院判決大正四年五月一二日民録二一輯六九二頁参照)。したがつて、原判決が上告人の過失を論ずるにあたつて上告人が未成年者であることを考慮していないことをもつて、所論の違法があるとはいえない。論旨は独自の見解であつて、採ることができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤林益三 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例